約 1,236,996 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1360.html
ゆっくりれみりゃが空き家に住んでいた。 空き家でもそれなりに丈夫な外観、そしてまだ綺麗な状態のベッド。 自称紅魔館のお嬢様を自負するれみりゃのぷっでぃん脳では、随分と豪華なお屋敷に映っている事だろう。 「う~♪ さくや~だっご~♪」 起き掛け、一人空き家でそんな事を言うれみりゃ。 れみりゃは取り合えず朝はこう言って起きる、たとえ咲夜が居なくても。 しかし、このれみりゃは違った、きちんと咲夜がいたのだ。 「おぜうさま!! さくやがまいりましたぁ!!!」 勢いよく寝室に入ってきたのは、一匹の饅頭。 青紫の髪の毛にカチューシャ、そして青い瞳。 ニコニコとれみりゃに話している顔。 その外見的特長からゆっくり咲夜と呼ばれている。 「う~♪ しゃくや♪ だっご~♪」 そう言って手を伸ばすれみりゃ、しかしどう考えても体の大きいれみりゃを饅頭の咲夜が持ち上げられるはずも無く、渋々ベッドから降りるれみりゃ。 「おぜうさま!!! おきがえのじかんです!!!!」 笑顔のまま、そう言ってれみりゃに着替えを促す。 勿論、紅魔館でご寵愛を受けて無残に食べられるれみりゃは代えの服は有るのかも知れないが、唯の空き家に住んでいるぷっでぃん脳しか持たないれみりゃに代えの服が有るはずも無く、一度服を脱いでまたその服を着る、という作業をするだけである。 「う~♪ れみりゃはひどりでおきがえできるぉ~♪」 前が見えなくなり十六回ほどあちこちにぶつかりながら上着を脱ぐ。 足がもつれ、十六回ほどあちこちにぶつかりながらスカートを脱ぐ。 裏返しになりながらシャツを脱ぎ、一回頭をぶつけてドロワーズを脱ぐ。 それを逆に繰り返せばお着替えは終了である。 「はぁはぁ!! おぜうさま!! おうつくしい!!!」 その様子をじっと見ていた咲夜はそんな台詞を呟きながら、何故かある鼻から蕨餅を滴らせていた。 「しゃくや~♪ れみりゃおぎがえおわっだどぉ~♪」 俗に言うれみりゃスマイルと言う破壊力抜群の笑顔で咲夜に報告する、自分でパチパチと拍手までしている。 「おぜうさま!! さすがです!!! ……そろそろちょーしょくです!!」 「う~♪ しゃくやおがじたべどぅ~♪」 二つの食べ物は仲良く一階に移動する。 奥の部屋、そのぽっかり空いた床は二メートルほどの穴が開いていた。 穴を見ればゆっくり霊夢一家。 「ゆ!! おかーさんおなかへったよ!!!」 「ゆっくりできないよ!!!」 「がんばってここからでようね!!!」 どうやらここに落ちたらしい、しきりにジャンプして上がろうとする一家。 それが叶わないとピラミッドを組んで上がる。 しかし、重みと人数が足らずそれも無理。 するとさっきの事は忘れてまたジャンプ。 その繰り返し。 一日三回ピラミッド中に潰れた子供を食べるので、ドンドン人数が減っていく一家。 そうやら霊夢の中でもオツムが極端に弱いらしい。 「う~♪ おまんじゅ~おまんじゅ~♪」 言うが早いか穴に飛び込むれみりゃ、勿論今日の朝ごはんだ。 「ゆゆ!! こんにちは!! れいむたちゆっくりできないの!! ゆっくりたすけてね!!!」 「「「ゆっくりしようね!!!」」」 「う~♪ た~べちゃ~うぞ~♪」 大きい母親霊夢から食べ始める。 「ゆ!!! なにずるのーー!!!」 必死に抵抗するが、今まで散々意味の無い運動を続けていたゆっくり達は殆ど抵抗できない。 「ゆゆ!! ゆっぐりやめでね!! れいむはだめののじゃないよ!!!」 「「「やめてね!!! おかあさんをゆっくりはなしてね!!!」」」 「う~♪」 子供たちの抵抗なんて何のその、ゆっくり半数の饅頭を食べ終えたれみりゃはお腹を擦りながらご機嫌な様子で穴から出てくる。 「ゆっ! ゆっくり、……ゆっくりしてたけっかがこれだよーーー!!!」 「おがーざーん」 「どうじでおがあざんをたべだのぉー!!!」 今度はそのゆっくりが掴まれた、感動の親子再開である。 「う~♪ おいじがっだどぉ~♪」 「おぜうさま!!! それはよかったですね!!!!」 それを聞いて、ゆっくり独特の笑顔で返答する咲夜。 この穴に一家が入ったのは偶然ではない、このゆっくり咲夜がやったのだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 と屋敷の周りで言えば。 「ゆっくりっするよ!!!」 とゆっくりが駆け寄ってくる。 「なかでもっとゆっくりできましゅよ!!!」 そういってすんなりと中へ招き入れる。 「ほんとだ!!」 「おかーさん!! ここれいむたちのおうちよりおおきいね!!!」 「ここならもっとゆっくりできるよ!!!」 「そうだね!! ゆっくりみんなではなしあったけっか、ここはれいむたちのおうちになったよ!!!」 「ゆっくりできないゆっくりは、でていってね!!!」 れみりゃスマイルと同程度の破壊力を持った発言。 それを聞いてもゆっくり咲夜は顔色一つ変えないで言い放つ。 「いいですよ!! でもこのおくに、もっとゆっくりできるばしょがありましゅよ!!!」 「ゆ!! さっさとはやくあんないしてね!!!」 つまりはこういう訳である。 これで食事に事欠かなくて済むれみりゃ。 咲夜の自身は他のゆっくりと同様の食事で困らないので、これは全てれみりゃのご飯になる。 れみりゃが足りないと我侭を言っても、直ぐに咲夜が調達してくる。 やはり、れみりゃは何処でも我侭なのだ。 そのご飯に今までゆっくりアリスが入っていなかった事を付け加えておく。 「う~♪ おでかけするぉ~♪」 「おぜうさま!!! ごいっしょいたしますわ!!!」 安っぽい、一部剥がれたビニール傘をさしながらお屋敷を出る。 特に目的は無い、ただ周りを見て回るだけだ。 「う~♪ おはないっぱいだどぉ~♪ !!! じょうじょだどぉ~♪ までー♪」 「おぜうさま!!! おまちになってください!!!」 とてとて歩くれみりゃの後ろをピョンピョン付いていく、れみりゃは目の前の蝶を追いかけるので精一杯だ。 「う~? じょうじょどご~? どご~?」 蝶が目の前から居なくなり、漸く周りの景色に目を向ける。 「おぜうさま!!!」 「う~♪ おっきなおやしぎ~♪」 目の前に映る屋敷に目を奪われているれみりゃ。 追いついた咲夜も目を奪われる。 それは正真正銘の紅魔館。 当然、れみりゃは大きなそのお屋敷に吸い込まれるように近づいていく。 「う~♪ れみりゃのおやしきだどぉ~♪」 辺りをぐるっと回って正面へ、勿論門番が立っていた。 のだが先ほどの魔理沙との先頭で気絶中。 「う~♪ ばぁ~か♪」 その横を得意げに通って行くれみりゃ、勿論傘で叩くのも忘れない。 「う~~~~~♪」 目の前には綺麗な庭、そして大きなお屋敷。 そして…… 「「「「う~♪」」」」 数匹のゆっくりれみりゃ、みな一様にれみりゃスマイルでヒゲダンス。 「う~♪ れみりゃもずるどぉ~♪」 当然ものれみりゃも参加する。 口をニヘラァと開けて笑顔を作る、両手を腰にあてお決まりの言葉を発すれば、そこには楽しそうに踊っているれみりゃの姿を見ることが出来る。 「うっう~♪ あうあう♪」 本人達は楽しそうに踊っていたその頃、ゆっくり咲夜は未だばてている門番の所に居た。 「も~しょうがないわね!!!」 がぶり。 普通のゆっくりより遥かに鋭いその歯で門番の腕に噛み付く。 「!!! ちゅ~~~~ごっく!!!」 鋭いとはいえゆっくりの歯、妖怪やましてや人間の皮膚を傷つけるには居たら無いが、門番を起こすことは出来るようだ。 意味不明な叫び声をあげて飛び起きる、必死に咲夜の姿を探すが近くにはその顔をしたゆっくり咲夜だけ。 「??? 咲夜さん……?」 完全に覚醒しきれていない門番は何が起きたのか理解できない。 「もう! はやくゆっくりしごとにもどってね!!!」 それだけ言って屋敷の中へ消えていく咲夜の頭。 「?」 取り合えず、言われたとおり仕事に戻った門番だった。 「うっう~♪ れみりゃう~♪」 その頃庭では踊りも終盤、全員が肉汁だらだら出しながら満面の笑みで踊っていた。 「う~、……! れみ☆りゃ☆う~☆ ニパ~」 極上の笑顔を残し、肉まん集団御遊戯会は終了した。 それを待っていたかのように、屋敷から一人の人影が近寄ってくる。 「れみりゃ様。すばらしいダンスでしたよ!! さぁさぁ疲れてでしょう? プリンをお持ちしました」 本物の十六夜咲夜だ。 差し出されたプリン丁度全員分、ご丁寧にスプーンまで用意されている。 「う~♪ ぷっでぃん♪ ぷっでぃんだべどぅ~♪」 「ぷっでぃ~~~んちょ~だい~♪」 一目散に咲夜に駆け寄ってプリンを奪い取っていくれみりゃ達。 「う~? う~♪」 勿論、あのれみりゃも例外ではない。 少し不思議がってはいたが、一目見るとあっという間に上機嫌。 「うっう~♪ おいち~♪」 他のれみりゃと同じように、スプーンをグーで持って食べ始める。 たくさんのれみりゃがニコニコしながらプリンを食べている。 「「「「「ん~♪ おいちいどぅ~♪ れみ☆りゃ☆う~☆ 」」」」」 それをニコニコしながら見つめる咲夜。 と。 「さくやさ~ん? どこですか~♪」 自分を呼ぶ小悪魔の声、仕方が無いがその場を後にする咲夜。 なに、これだけ人数が増えてのだ、また明日見ることが出来るだろう。 「どうしたの小悪魔?」 「はい。ぱちゅりー様が御用時があるそうです」 「そう」 連れだって図書館へ赴く。 この時、小悪魔が後ろを振り向いてプリンを貪るれみりゃ達に笑みを浮かべたことは、咲夜は死んでも知らない。 「うっう~♪ ぷっでぃ~んおいしいどぉ~♪」 「うーー!! もっどぷでぃんだべたいどぅ~♪」 「「「「「「「ぷっでぃ~んたべたいどぅ~♪」」」」」」」 「おぜうさま!!!」 ゆっくり咲夜が着いた時には、既にプリンは食べ終えられ高級なカップが地面に転がっていた。 「う~♪ ざぐや~♪」 ゆっくり咲夜のもとへ、あのれみりゃが近づいてゆく。 「しゃくや? しゃくやどご~♪」 「どご~、ざぐや~♪」 その一声に、他のれみりゃも近づいてくる。 「う~ざぁぐや~♪」 「おぜうさま!!! なんでしょう!!!!」 腰を屈めて、両手を自分の胸の前に持ってくる。 所謂ぶりっ子の仕草をする、このれみりゃがゆっくり咲夜に我侭を言う時のポーズである。 周りを見ると、他のれみりゃも大分近寄ってきた。 ぷっでぃん脳でも人間ではなくゆっくりだと理解できるらしい。 始めてみるゆっくり咲夜だが、生得的なものか、これが自分に対してどういう存在か知っているようだ。 「れみりゃね~、おがしだべだいの~♪」 代表して言うのは勿論あのれみりゃ、ここぞとばかりにれみりゃスマイルを浮かべて話を続ける。 「おぜうさま!!! おがしですね!!!! れいむですか?まりさですか?」 「ん~ん♪ れみりゃ、ぷっでぃ~んがたべたいのぉ~♪」 にぱーっと笑顔を浮かべてゆっくり咲夜にお願いするれみりゃ。 外野でもぷっでぃ~んコールが沸き起こる。 「ぷっでぃ~ん? ぷっでぃ~ん。……ぷっでぃ~ん!!!!!」 「う~♪ ぷっでぃ~ん♪ ぷっでぃ~ん♪」 咲夜が連呼したぷっでぃ~んに合わせて自分も叫ぶ。 咲夜の目が真っ赤になっているとも知らないで。 「しょくりょーが!!!」 そのまま声を張り上げ目の前のれみりゃへ。 勢いよく跳躍し、自慢の歯でれみりゃの両腕を噛み千切る。 「ほんじゃぎゃーーーーーーー!!!!!!」 今まで自分の我侭を聞いていたゆっくり咲夜の突然の行動と腕の痛みに、涙を流しながら転がり悶えるれみりゃ。 「こんなのおぜうさまじゃないわーーーーー!!!!!!!」 そう言って、引きちぎった両腕を貪る咲夜。 「うがぁ!! れみりゃの! ……それはたべものじゃなぐでれみりゃのー!……」 そんな声はお構いなしにそのまま全身を貪っていく咲夜。 「う~!! ♪ えい! えい♪ うっう~れみりゃはつよいどぉ~♪」 咄嗟に、回復した右腕でビニール傘を使い反撃にでる。 しかし、お世辞にも早いとは言えないその攻撃を食らうほどゆっくり咲夜は馬鹿ではない。 「むっしゃむっしゃ!!!」 あっけなく再生したての右腕を再び口ちぎられ、その牙はれみりゃの頭に向けられる。 「おぜうさまとはちてもにつかないわ!!!」 「んぎゃーーー!!! うっ、う゛わ゛ーーー!!!」 頬を食いちぎる、そのまま顔面を恐ろしいスピードで飲み込んでいく。 周りのゆっくりは逃げもせずただおろおろするばかりである。 「う~!! う~~~~!!!!」 「ばっ、ばぁ~か!! ざぐやにいいづげでやどぅ~!!!」 「ざぐや!!! ざぐやーーー!!!! どごーーーーー!!!!」 通常自分たちが食すゆっくり饅頭。 それが攻撃してくると、れみりゃは唯おろおろしてなすがままにされるしかない。 それは、アリスに襲われた時、自らの子孫を残すためでもあるのだ。 それだけを遺して息絶えるれみりゃ。 間髪居れず次の肉まんへ狙いを定めるゆっくり咲夜。 「こんなにぐまん!!!! しょぶんじますーーーー!!!!!」 次の肉まんも圧倒的だった。 足を食いちぎりそのままお腹へ。 たくさんの肉まんの具を掻き出しながら飲み込んでいく。 「ざぐやーーー!!! ごわいひどが!!! ごわいひどがいるどぉーー!!!」 それを言い終わる頃には既に残すは首から上のみ。 「ざぐやーー!! だずげでーーー!!! それがらぷっでぃ~ん!!!」 それが最後の言葉になった。 次の肉まんは珍しく、飛んで逃げようとした。 「う~♪ れみりゃはどべるんだぞぉ~♪」 しかし、見せびらかすようにゆっくり咲夜の目の前で浮かんでいたため即座に羽が食べられる。 そして落下する体。 「んびょん!! ……!! う~!!」 勢いよく地面にぶつかったこのれみりゃはそこで抵抗を諦めたようだ。 それ故、一番早い時間で完食された。 「ふー……。!!!」 まだ残っているれみりゃ達の方へ向き直るゆっくり咲夜。 「う……。う~♪」 「う~♪ う~♪」 「うっう~あうあう♪」 一致団結してご機嫌をとる、それを白けた顔で眺める咲夜。 「う~~♪」 「「「うっ~♪」」」 れみりゃ達も、その様子を見てほっと一安心、もう食べる気は無いと判断したのであろう。 「れみ☆ry、うーーーー!!!」 咲夜のもとへ近づいてきた一匹に狙いを定めて食事を再開する咲夜。 御遊戯の雰囲気から一変、再びそこは地獄絵図と化した。 「おぜうさまのにせものめ!!!」 「う゛わ゛ーーーー!!! ざぐや゛ーーーーーー!!!!!」 今まさに食べられている一匹が発した言葉、それが咲夜に届くことは無かった。 そして、ゆっくり咲夜に耳にも届くことは無かった。 ……。 「それではこれで失礼します」 「ご苦労様」 「おう、ありがとさん」 「お二人とも、プリン食べたくないですか?」 パチュリーと魔理沙に紅茶をだして図書館を後にする咲夜。 「今日は安心して普通の紅茶を飲みたい」 そう言われて小悪魔に変わって紅茶を淹れた。 時間を止め、出来る限り最速で淹れ終えたのだが、時間を戻した時に運悪く躓いていた小悪魔とぶつかって淹れなおし&後始末。 おかげで大分時間が掛かってしまった。 そうだ、何時も一つで不満げだったからたまにはもう一つ作ってあげよう。 それで機嫌がよくなれば、もう一度可愛い可愛い御遊戯会が鑑賞できる。 先ほどよりも、本気を出してプリンを作っていく咲夜。 おいしければおいしい程御遊戯会を見れるチャンスが増すのだ、そう考えれば一段と気合が入る。 「できた」 何時ものプリンの上にさくらんぼと生クリーム。 その懇親の一品をお盆に載せる。 そうだ、と思い立ち以前ご機嫌を取るのに使ったきぐるみの帽子も被る。 準備万端、いざ庭へ。 「れみりゃさまー!! ぷっでぃ~~んをお持ちしましたよ!!! ……」 元気よく先ほどまでれみりゃが居た場所に向かった咲夜。 そこにはパラパラと散らばっている肉まんの具と人数分のれみりゃの服と帽子。 そのうち一枚は何故かシャツが裏返っていた。 呆然と立ち尽くす咲夜。 ゆっくりフランなら唯の悪戯だけだし、門番はきつく言い聞かせているから食べない。 ……? 全く原因が分からず呆然としている咲夜、一点を見つめたまま辛うじてお盆を支えている。 そこに近づく一人の人影。 「さくやさん。おいしそうなぷりんですね♪ もらってもいいですか?」 「…………」 無言で首を縦に振る咲夜。 「えへへ、有難うございます♪」 そう言って彼女は、もと来た道を戻っていった。 その頃、ゆっくり咲夜は紅魔館の中へ入り込んでいた。 「ゆ! そこ、ちゃんとしごとしなしゃい!!!」 「そこはみょういいわ!! こっちのおしょうじをよろしくね!!!!」 そんな事を言いながらまるで本物のメイド長のような態度で屋敷をうろついて行く。 「咲夜~? 紅茶を入れて欲しいんだけど」 「ゆっ!」 昼間、博麗神社へ行っていたため起きていたこの屋敷の真の主、レミリア・スカーレット。 従者に紅茶を入れて貰おうと、掴まらない咲夜を探していた所だった。 それと丁度かち合ったゆっくり咲夜。 ゆっくり咲夜の顔に笑みがこぼれる。 「おおおお!!!! おぜうさまー!!!!! ほんもののおぜうさまーーー!!!」 鼻から蕨餅をダラダラ垂らし、まるで発情したゆっくりアリスの様にピョンピョンと近寄っていく。 勿論、今のコイツは素面である。 対するレミリアは特に驚かず、一瞥の後に。 「何、コイツ?」 「はぁはぁ、おぜうs……んびゃお!!!」 一発の弾幕で中の餡子を飛び散らせて朽ち果てるゆっくり咲夜。 勿論意識は一瞬で途切れた。 「? まぁ良いわ。さくやー! ……庭かしら?」 …… 「このプリンとても美味しいわね。小悪魔が作ったの?」 「いえ、咲夜さんが作りすぎたようなので、貰ってきたんです」 「こいつはうめぇぜ! 流石メイド長だけはあるぜ!」 「はい、(元に)戻ったら伝えておきますね♪」 …… 「ゆっくりたすけてねーーー!!! おかーさーん」 「ゆー!!! ゆっくりたすけてねーー!!!」 「おなかへったねー!!!」 「はやくおうちにかえって、おかあさんたちとゆっくりたべようね!!」 「ゆー、おにゃかへったー」 「……。!!! まんじゅう!! いっぱい!!!」 「ゆゆ!! れいむはまんじゅうじゃないよ!!! ぷりてーなかわいいれいむだよ!!!」 「むっしゃ!! これめっちゃいめぇ!!!!」 True End
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/821.html
その広い部屋には沢山の透明な箱が並んでおり、箱の中にはゆっくりが一匹ずつ入っており、ゆうゆうと寝息を立てている。 種類も大きさも皆バラバラ、唯一の共通点は全てのゆっくりがつい数時間前までは野生だったという事だけだ。 部屋に一人の人間が入ってきた。 小柄だががっしりとした体格の中年男性で、厳しい表情を浮かべている。 男は入ってくるなり大声で 「起きろ! 起きろ! 起きろ! 腐れド饅頭共!!」 と怒鳴り散らした。 たちまちゆっくり達はその声で目を覚まし、何事かとキョロキョロしている。 一分程怒鳴り続けた所で漸く全てのゆっくりが目を覚まし、男は怒鳴るのをやめた。 呆然と男を見詰めるゆっくり達を睥睨し、男は高らかに宣言する。 「俺が貴様らを調教するヘリントン訓練教官である!」 どのゆっくりも、今何が起こっているのかいまいち理解できない様子で間抜けた顔を晒している。 それには構わずにヘリントンは続ける。 「話しかけられた時以外口を開くな。口から糞を垂れ流す前と後に"サー"と言え。分かったかゴミクズ!」 数秒後、一斉にゆーゆーとブーイングが上がる。 それも当然、彼らは皆寝て起きたら見知らぬ場所に閉じ込められており、いきなり高圧的に怒鳴り散らされているのだ。 例えゆっくりでなくとも不満を抱いて当然である。が、ヘリントンにそのような言葉は通じない。 「誰が口からクソを垂れ流して良いと言ったか!! 全員踏み潰されたいか!!」 そう怒鳴って再びゆっくり達を黙らせる。あまりの剣幕に既に気を失っているものも居る。 ヘリントンは偶々目に入った気を失ったぱちゅりーを箱から取り出して全てのゆっくりに見えるよう持ち上げ、 「今後俺の命令に従わない奴は―――こうなる!!」 と叫ぶと、腰に下げている棍棒でぱちゅりーを滅多打ちにし、餡子を吐き出す暇すら与えずに殺害した。 集められたゆっくりの中には過去に何匹もの同族を殺したものも、食った事があるものも居た。 そういったゆっくりの死に慣れているもの達ですら、ヘリントンの所業にただただ怯えていた。 「分かったか! 分からんのか!! 返事はどうした腐れ餡子!!」 『わ゛がり゛ま゛じだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!』 「"サー"を付けろと何べん言わす気だ生ゴミ!! ゴミ袋に詰めて月曜日に出すぞクソッタレ!!」 『ざー! い゛え゛っざー!』 「ふざけるな! 大声出せ! 飾り落としたか!!」 『ざー!!! い゛え゛っざー!!!』 全てのゆっくりが命令に従っているのを確認すると、ヘリントンは再び部屋の中をゆっくりと歩き始める。 「貴様ら炭水化物が俺の訓練に生き残れたら貴様らはゆっくりになる。ひたすらゆっくりできるお饅頭だ」 ごくり、とゆっくり達が唾を飲み込むような音が響く。 「その日まではゴミクズだ! この宇宙で最下等の嗜好品だ。 貴様らは生物ではない! ムラサキババアの足の親指の爪の垢をかき集めた値打ちすら無い! 貴様らはゆっくりできない俺を嫌う。だが憎めばそれだけ学ぶ。俺はゆっくりさせないが公平だ。 餡種差別は許さん! 無能、ゲス、レイパーを俺は見下さん。全て―――平等に価値が無い!!」 何匹かのゆっくりは文句を言おうと口を開きかけるが、そういったゆっくりは何か言う前に箱を蹴られて黙らされた。 抵抗どころか喋る事すら許さない恐るべき人間に、ただただ黙って耳を傾け続けるゆっくり達。 「俺の使命は欠陥品を刈り取る事だ。愛する幻想郷の害虫を! 分かったかゴミクズ!!」 『ざー! い゛え゛っざー!』 「ふざけるな! 大声出せ!!」 『ざー!!! い゛え゛っざー!!!』 ヘリントンはあるゆっくりゆゆこの前で足を止め、ゆゆこに向かって話しかける。 「名前は何だメタボリック!」 緊張に顔を強張らせて、ゆゆこは答える。 「さー! ゆゆこですさー!」 「貴様の事は今からミートボールと呼ぶ! いい名前だろう?」 ゆゆこはミートボールと聞いて反射的に涎が出るのを我慢して返事をする。 「さー! いえっさー!」 「聞いて驚くなミートボール! ここでは貴様にゆっくりは食わせん!」 「さー! いえっさー!!」 軽く絶望しながらも必死で答える。既に涙と涎で顔がふやけつつあるのは流石にゆゆこ種と言うべきか。 その時、ヘリントンとゆゆこの声以外の音が部屋に響く。 「もうやだおうちかえる……」 その瞬間、ただでさえ張り詰めていた空気が凍りつく。 ヘリントンはまるでぎちぎちと音を立てるように振り向き、声が聞こえた方向に向かって行き、問い詰める。 「誰だ! 何処のクソだ!! 中国製の殺人食品め、ぶっ潰されたいか!?」 周辺のゆっくり達は皆喋ったゆっくりの方を横目で睨むが、ヘリントンは気付かないフリをしている。 「答え無し? お値段以上の光学迷彩か! 上出来だ、頭が沸騰するまでしごいてやる! 穴という穴からタバスコをがぶ飲みするまでしごき倒す!!」 そして喋ったゆっくりの隣に居たゆっくりありすを箱から引っ張り出して詰問しだした。 「貴様か腐れぺにぺには!?」 「さー!! のーさー!!」 どちらかというと自慢のぺにぺにを侮辱された事について否定するありす。 「クソブタが!! 貴様だろヘタレぺにぺには!!」 「さー!! のーさー!!」 と、周囲のゆっくりの視線に耐え切れなくなったのかじっと下を向いていたゆっくりまりさが答える。 「さー! まりさがいいましたさー!」 ヘリントンはありすを乱暴に箱に戻すと、今度はまりさを箱から取り出した。 「そっちのゴミクズか。勇気あるお笑い芸人、ドゲス三級品。 正直なのは感心だ。気に入った、家に来てHENTAIお兄さんとネチョっていいぞ」 そう言い放ち、口の下―――人間で言うとちょうど鳩尾に当たる―――を殴りつけ、床に叩き付けた。 あまりの激痛と衝撃に蹲るまりさに向け、物凄い勢いで怒鳴る。 「スカトロ饅頭が!! じっくり可愛がってやる!! 笑ったり泣いたりできなくしてやる!! さっさと立て!! 」 痛みと恐怖でぶるぶると震えながら、まりさは無理矢理顔を上げる。 「隠れてすっきりしてみろ、目ン玉抉ってジョロキア詰め込むぞ!! 分かったか!!」 「さー! いえっさー!」 「何故生まれてきた?」 「さー! ゆっくりしたいからですさー!」 何を当たり前の事を聞いているんだ。馬鹿なのか?死ぬのか?等とは当然思っていても言わない。 「ゆっくりしたいのか」 「さー! いえっさー!」 「ゆっくりの顔をしてみろ」 「…………さ」 「ゆっくりしている時の顔だ!やってみろ!!」 ヘリントンは鬼のような形相を浮かべて、まりさに真似をさせる。 「ゆうううううううううう!!」 まりさはぷくーっと顔を膨らませて、威嚇する時のような表情を見せつける。 どうだ、これならこのおじさんも怖くて今までの無礼を謝りだすだろう。 内心でそんな風に考えるまりさに、ヘリントンは言う。 「それでゆっくりできるか! 気合を入れろ!!」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!!!」 これでどうだとばかりに、気力を振り絞って思い切り顔を膨らませる。 これまで生きてきた中で最高の『ぷくー』だ。これなら人間どころか妖怪だって泣いて謝りだすに違いない。 「迫力無し。練習しとけ」 「さー! いえっさー!」 言い捨てて、あっさりとヘリントンは隣のありすに向かって行った。 「貴様の言い訳は何だ?」 先程詰問したありすを再度箱から取り出して、再び詰問する。 「ゆ?なんのこと?」 訳が分からず聞き返すありす。 「生ゴミ相手に質問するのは俺の役だ!! それと"サー"を付けろと何万回言わす気だ脳無し!!」 「さー! いえっさー!」 「続けてよろしゅうございますかマドモアゼル?」 「さー! いえっさー!」 言っている事はよく分からないが都会派として相応しい呼び方なので満足するありす。 「不満か?」 「さー! いえっさー!」 「俺のせいか?」 「……さー!」 「何だ? 俺をクソバカと呼びたいか!?」 「さー! ちがいますさー!」 「体高はいくつだ?」 「さー! りんごさんみっつぶんですさー!」 「まるでそそり立つキノコだ。サバ読んでるな?」 「さー! ほんとうですさー!」 「父ゆっくりのぺにぺにをふらんが引き千切って母ゆっくりのまむまむに無理矢理ねじ込んでできたのがお前だ!!」 いくらなんでもあんまりだ、とありすは泣きそうになり、何匹かのゆっくりは顔を赤くしている。 「どこの穴で育った?」 「さー! とってもゆっくりできるおうちですさー!」 「ゆっくりプレイスで育ったありす種はレイパーかオナニストだけだ! お前はレイパーには見えんからオナニストだ!!」 ひどい言いがかりだ、と抗議したい所だが何も言えないありす。 怖いからというのも勿論あるが、実は図星なのである。 このありす、一緒に育った姉妹よりも数段ぺにぺにが小さいのがコンプレックスで、 仲間達の『すっきりぱーちぃ』には参加した事が無く、いつも遠くから眺めて一人ですっきりしていた。 「そこらの木とやるんだろ?」 「さー! のーさー!」 咄嗟に否定したがこれも図星だった。どんどん顔が恥辱で赤く染まっていく。 「すっきりできりゃ何でもいいんだろ?」 「さー! のーさー!」 「地面とすっきりするだけしてちゃんと穴を埋めておくマナーも無い奴! きっちり見張るぞ!」 「さー! いえっさー!」 ありすを再び箱に戻すと、ヘリントンは次のゆっくりを箱から出して怒鳴りつける。 「両親が潰し損ねたガキがお前だな?」 「さー! いえっさー!」 比較的緊張感に欠ける表情で、れいむは答えた。 「お前を見ると嫌になる! 初心者絵師の醜さだ! ―――名前は汚物か?」 「さー! れいむですさー!」 「れいむだと? "楽園の素敵な巫女"か?」 「さー! のーさー!」 「気品ある名だ。博霊か?」 「さー! のーさー!」 「貴様もオナニストだろ?」 「さー! のーさー!」 「寝ながら木の枝をつっこんでる穴だ!」 「さー! のーさー!」 「名前が気に食わん。4ボスか自機の名だ。ド饅頭と呼ぶ」 「さー! いえっさー!」 何がおかしいのか、依然として締まりの無い顔をし続けるれいむ。 「何かおかしいか、ド饅頭」 「さー! のーさー!」 「気色悪いニヤけ面をどうにかしろ!」 「さー! いえっさー!」 言われて、締まり無く開いていた口をとりあえず閉じるれいむ。 だが、表情自体は大して変わっていない。 「早く顔面に伝えろ!」 「さー! いまやってますさー!」 依然として変化無し。苛立ったようにヘリントンは言う。 「ド饅頭、3秒やる。3秒だ間抜け! アホ面続けるなら頭皮を引っぺがして花を植えてやる! 1! 2! 3! 」 「できません!」 「跪けドグサレ饅頭!! 」 そう叫ぶとヘリントンは手に持っていたれいむを床に叩き落した。 そしてポケットからマッチを取り出して火を点け、れいむの目の前にかざす。 「飾りを燃やせ!!」 「ゆっ!?」 飾りはゆっくりにとって命の次に大事な物である。 それを燃やすというのは殆ど自殺行為と言っても過言ではない。 れいむは散々迷った挙句、従わなければ本当に殺されると直感して渋々自分の髪飾りを外し、 ヘリントンがもう片方の手に持っているマッチ箱を取ろうとしたが、 「俺の手を使えゴミクズ!!」 頬を引っぱたかれて床を転がった。 今度はマッチを持っているヘリントンの手を舌で引っ張ろうとした。すると、 「誰が俺の手を汚染しろと言った!? ドアホ!!」 舌を目一杯引っぱられてばしんと離され、ゴムの様に戻ってきた舌に顔面をひっぱたかれて床を転がる事になった。 「自ら燃やしに来い!」 れいむは床に落ちた飾りを拾い、まだ燃え続けているマッチの上にかざした。 少しずつ飾りが焦げ、火が燃え移り、煙と匂いが部屋に漂い始めた。 他のゆっくり達は固唾を呑んでその様子を見守っている。 ヘリントンは醜く顔を歪めてぼたぼたと涙を垂れるれいむに対して問いかける。 「まだ笑いたいか!?」 「さーのーさー……」 「大声出せ!!」 「さー! のーさー!」 「ふざけるな! 大声出せ! 餡子無くなったか!!」 「ざー!! の゛ーざあ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 「止めてよし!!」 許しを得るとれいむは慌てて飾りを床に置き、ふうふうと息を吹きかけて火を消そうとする。 当然そんな事では火が消える筈が無いので、ヘリントンが飾りを踏みつけてぐりぐりと消火した。 半分ほど焼け焦げ、靴で踏みつけられてボロボロになった飾りを泣きながら頭に付けるれいむ。 飾りを付けてもべそべそ言うれいむに構わずヘリントンは、 「ケツの穴を引き締めろ! 丹波大納言小豆のクソをひねり出せ! さもないと生き地獄に叩き込んでやる!」 「ざー! い゛え゛っざー!」 苛烈な精神鍛錬から始まり、様々な運動・戦闘訓練・小石や木の枝等を使った戦闘法等が餡子脳に叩き込まれていった。 その辺の森や草原で捕まえられた野性のゆっくり達は、またたく間に人間の命令に無条件で従う忠実さと、 他のゆっくりがほんの僅かな敵意でも見せればたちまち襲い掛かり殺害してしまう攻撃性と戦闘力を獲得していた。 そして当初の半分程にまで数を減らしたゆっくり達がこの訓練施設を卒業する日がやって来た。 「本日をもって貴様らはゴミクズを卒業する。本日から貴様らはゆっくりである。兄弟の絆で結ばれる。 貴様らのくたばるその日まで何処に居ようとゆっくりは貴様らの兄弟だ。 多くはゆっくりプレイスへ向かう。ある者は二度とゆっくりできない。だが肝に銘じておけ。 ゆっくりは死ぬ。死ぬ為に貴様らは存在する。だがゆっくりは永遠である。つまり―――貴様らも永遠である!」 訓練を生き残ったゆっくり達は皆、過酷な訓練を思い返して涙ぐんでいる。 とうとう本当のゆっくりになれた。もうゴミクズじゃないんだ。その事実で胸が一杯になっていた。 「箱に入れ!!」 『さー!!! いえっさー!!!』 号令をかけると速やかにもはや慣れ親しんだそれぞれの透明の箱に飛び込む。 そしてヘリントンは全ての箱を荷車に載せ、外へ運び出す。 ついにゆっくりプレイスへ行ける喜びで目を輝かせるゆっくり達の目に写ったものは馬車と数人の人間だった。 「こちらがご依頼の品です」 「品というのはやめて下さい。この子達は立派に生きているんですよ」 外で待っていた男が抗議する。ヘリントンはさして気にする様子も無く、 「ああそうでしたね、失礼。とにかく彼らがご依頼のゆっくり達です」 「随分数が減っているようですが、一体何があったんです?」 「まあやはりゆっくりにとっては大変なんでしょう。途中で嫌になった子も居ましたので、森に帰しておきましたよ」 「そうですか。とにかくありがとうございます。こちらが残りの代金です」 「……はい確かに。ありがとうございました。またの御利用をお待ちしております」 「あ、そうだ。よろしければこれをどうぞ。私共の活動を紹介したパンフレットです」 「それはまたご丁寧に、ありがとうございます。後で読んでみます」 「それは良かった。ゆっくり達にこんなに愛情を持って物を教えられる貴方ならきっと気に入ると思いますよ」 「さあ、それはまあ、読んでみないと分かりませんね」 「それもそうですね。じゃ、これで失礼します」 馬車が去るのを見送ると、ヘリントンは家の中に戻りゴミ箱にパンフレットを投げ込んだ。 「『ゆっくりにゆっくりできるだけの力を』ねえ……ハッ下らねえ。 あんなザルに何教えたって無駄だってのに。どーせあいつらも故郷に帰されて三日もすりゃ元通りだろうな。 あーあったく……ゆっくりんぴーす様はあの『ゆっくりへの愛情』とやらで一体何を見てるんだかねぇ。愛は盲目ってか」 馬車の中 「あーうるせえなド饅頭どもが。あのブリーダー本当に仕事したのかぁ?」 「してるさ。でなけりゃ今頃とっくにこの馬車の荷台はあいつらの『おうち』だよ。雑談してるだけなら上出来だ」 「へーえ。……って、それなら何であんな高い予算まで組んで、野良をわざわざ捕まえて調教するんだ?」 「そりゃお前、アピールの為だよ。ゆっくりの為って言っとけばゆっくりマニアの金持ちが寄付してくれる。 それならせいぜい派手に飼い主様に尻尾を振るさ。野良を捕まえて施設に放り込むなんて楽なもんだ」 「ふーん。ま、そりゃそうかもな」 「それに今回だって使った金は予算の半分以下だぞ」 「うげ、そうなのか?それじゃあ余った分が勿体無いなあ」 「だよなあ。せっかく寄付して頂いた金なんだから返す訳にもいかないよなあ」 「仕方ないから皆で分けるとするか。これもひとえにゆっくりへの愛だ」 「愛なら仕方ないな。どの辺でゆっくりが絡んでるのかはさておき。おら着いたぞ」 「あいよ。さっさと運び出そうぜ。もう腹減っちまったよ」 「だからって売り物に手は付けるなよ?」 「分かってるよ」 馬車が止まった場所は、ゆっくり加工場の前だった。 作:ミコスリ=ハン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2581.html
※良いゆっくりが出てきます ※実験・観察中は基本解説はしてません ※ストレスでマッハになる可能性があります ※人間はあくまで状況を作り出すことしかしていません 益ゆっくりと害ゆっくり これは人間のものさしではあるが、ゆっくりのなかにも良いゆっくりと悪いゆっくりがいる事は知られている。 しかし良いゆっくりと悪いゆっくりの比率は明らかに悪いゆっくりの方が多い。 そのため多くの独善的なゆっくりにより良いゆっくりは駆逐されてしまうのである。 アリのような集団で行動する動物は基本、7割が真面目に働き3割がサボるという。 しかしこれもまたゆっくりには当てはまらない。全体としてみると真面目ではないゆっくりが多すぎるのだ。 そこで、だ。 人間にとって益なゆっくり、つまり良識あるゆっくり(以降益ゆっくりと称する)を集めて群にしたらどうなるか。 実験してみよう。 1ヶ月位掛かったのだろうか、やっと益ゆっくりを30匹集め終えた。 まずは聡明なドスを探さなければならなかったからだ。 また、そんなドスがいても益ゆっくりはドスの言葉を理解しないゆっくり(以降害ゆっくり)に殺されてしまいやすい。 ともあれやっと集まったのだ、今度こそ実験を開始しよう。 まず殆ど自然の状態だが外敵がいない状況を作り、だんだんと数を増やすやり方で益ゆっくりの群を形成。 次に我侭なゆっくり達に振り回されていた益ゆっくりタイプのドスを引き抜きこの群に送る。 対になる害ゆっくりの群は…そんじょそこらにいるためにあえて作ることもないだろう。 それでは観察してみよう。 「たべものをとりすぎるとむしさんもくささんもはえてこないよ!だからふゆをこせるぶんだけかくほするよ!」 「むきゅ、どすのいうとおりだわ」 「どすのさいはいにまかせるよ!がんばってとってくるね!」 「すっきりしすぎるとゆっくりできないよ!」 「わかったわ!みんなとすっきりしないようにするわね!」 「みょーん」 「あれはにんげんさんのはたけだよ!たねをうえておやさいをそだててるんだよ!」 「あそこにあるおやさいはたべちゃだめなんだね、わかるよー」 「にんげんさんのおてつだいをすればあそこのはっぱさんやむしさんをあつめられるかもしれないね!」 「むきゅ、それもかんがえたほうがいいわね」 本来自然ではありえなかったであろう光景。 ドスがリーダーシップを発揮し、そして全員がソレをサポートする。 どのゆっくりも1匹たりとも不平不満や我侭を言う事無く、群の活動をしていた。 さて、そんな群に1匹、害ゆっくりを入れてみよう。 害ゆっくりが群をかき乱すかどうか、観察だ。 「ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 「まりさをこのむれにいれてほしいんだぜ!」 「まりさはゆっくりできるゆっくり?」 「もちろんだぜ!」 「れいむはかわいいんだぜ、まりさとすっきりするんだぜ」 「すっきりなんてゆっくりできないことをしようとするまりさはゆっくりできないね!」 「そんなことはないぜ!すっきりはとってもゆっくりできるんだぜ!」 「みんな!このまりさはゆっくりできないよ!」 「どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉぉ」 「こうなったられいむにすてきなおやさいをぷれぜんとしてはーとをげっとするんだぜ!」 「ゆ?まりさもおてつだいにきたの?」 「おてつだい?ばかなの?まりさはここのおやさいさんをわるいにんげんからうばいにきたんだぜ」 「にんげんさんがいっしょうけんめいそだてたやさいをかってにとっていくの?」 「まりさはげすだったんだね!」 「おやさいさんはかってにはえてくるんだよ!それをにんげんがひとりじめしてるんだよ!」 「まりさはなにもわかってないのね、ばかね」 「わたしたちはここのはたけのもちぬしさんにおねがいしておてつだいをさせてもらってるのよ」 「みんなだまされてるんだぜ!めをさますんだぜ!」 「このまりさはすくいがないわね」 「おなかがすいたんだぜ、ごはんをたくさんとってたべるんだぜ!」 「そこまでよ!」 「みょーん!」 「ぱちゅりーにみょん!?」 「むきゅ、むしさんもくささんもとりすぎちゃだめなのよ」 「どすのめいれいだみょーん」 「もうやだ!こんなむれからはとっととでていくぜ!」 「むれからでるにはどすのきょかがいるわ」 「わかったぜ!さっさとどすにいってこんなゆっくりできないむれからだしてもらうんだぜ!」 「どす!こんなゆっくりできないむれにはいられないんだぜ」 「むれにはいったそのひにむれをでる?まりさはゆっくりできないうえにこんじょうなしだったんだね」 「まりさはゆっくりできるぜ!ここのむれがゆっくりしてないんだぜ」 「このむれはみんなものわかりがいいんだよ、かってなことをしたいだけのゆっくりできないまりさはこっちからねがいだげだよ」 「もういい!どすはゆっくりしね!」 「「「「どすのわるぐちはゆるさないよ!!!」」」」 「なにをするんだぜ!はなすんだぜ!」 「これはせいさいだよ」 「むれをゆっくりさせないようにしたうえ、どすにてきいをもったゆっくりはゆるせないよ」 「みんなのことをかんがえるどすにしねだなんて、みのほどしらずだね」 「いんがおうほうだねー、わかるよー」 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 案の定まりさフルボッコ。 今まで見てきたのとは逆の結果になった。 つまり、だ。 ゆっくりはその場の多数派に流れる傾向がある。 同じ数なら押しの強い害ゆっくりが攻勢になるが、これだけ数が揃うと益ゆっくりの勢力が強く主導権を握る。 まさに人から見てもゆっくりできる群であろう。 1対多なら多が有利。それがゆっくりの生態のようだ。 さて、こうなると同じ位の規模の益ゆっくりの群対害ゆっくりの群の勝負を見てみたくなる。 これの準備は簡単だ、近くの群の食料を台無しにすればいい。 人の手と言う事がばれないように、寝ている隙に崩落を装う。 勿論次の朝、群から五月蝿いほどの悲鳴が聞こえてくる。 「ふゆをこすごはんが・・・これじゃゆっくりできないよ」 「しかたないね、ちかくにむれがあるからたべものをわけてもらおうよ」 「れいむのかわいいあかちゃんたちをみればきっとごはんをだしてくれるよ!」 「まりさたちがゆっくりしたほうがちかくのむれもうれしいにきまってるんだぜ!」 害ゆっくり達の群でもドスはドスらしく振舞っているようだ。 空回りしている所が涙を誘う。 ドスは比較的益ゆっくりが多い為仕方ないのだが。 虐待お兄さんを愛でお兄さんにする位のドスもいるらしいが、大抵は害ゆっくりに愛想を尽かすものである。 このドスは何とか持ちこたえているようだが・・・ さぁご対面。 どうなる事だろう? 「ゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 「ここのどすにあわせてね!」 「ゆ、どすとそのむれだね、どうしたの?」 「おねがいがあるよ!そうこがくずれてたべものがだめになっちゃったんだよ」 「すこしでいいからたべものをわけてね!」 「・・・ごめんね、ここはほかのむれがゆっくりできるほどのたべものはないよ」 「むきゅ、むれのみんなのぶんでいっぱいいっぱいなのよ」 「それじゃしかたないね・・・」 「まつんだぜどす!このどすはうそをついているんだぜ!」 「なにをいいだすの?まりさたちはうそをついてないよ」 「いーや、このむれはきっとたべものをひとりじめしてまりさたちにたべさせないつもりなんだぜ!」 「へんなことをいうんじゃないよまりs」「そーだそーだ!れいむたちにたべものをださないなんてゆっくりできないゆっくりだよ!」 「まりさまでそんなことをしんj」「こんにゃかわいいれーみゅたちにごはんくれにゃいなんてこきょのどすはばきゃだね!」 「そんなこといったらだめでs」「でぃなーもくれないむれなんてとってもいなかものじゃない」 「くろうしてるんだね、どす」 「もうどうしたらいいの、どす・・・」 「ごはんをくれない、ゆっくりしてないどすはゆっくりしね!」 「そのことば、せんせんふこくとうけとるよ」 「むきゅ、むこうのどすはたたかういしはないみたいだから、どすのかんがえにはんたいなゆっくりのふこくとみるわ」 「なにをごちゃごちゃいってるちーんぽ」 「このむれをうばえるとおもってるんだねー、わかるよー」 「うるさい!ゆっくりしね!」 群同士の争いが遂に始まった。 ここからはゆっくり同士の会話だけでは分かりにくいので解説を入れてみる。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 害ゆっくり側はドスに対してしゃにむに突撃を行う。 「みんな、ここはどすはおさえるよ、ぱちゅりーとありすはほかのみんなをつれていどうするんだよ」 「むきゅ、わかったわ」 「とかいはにおまかせ!」 害ゆっくりの群の前にはドスが立ちふさがる。 そして大きく息を吸い込みその体を膨らませた。 「ここからさきはとおさないよ!」 その大きさと、体当たりにもびくともしない姿を見せつける。 「さっさとたおれるんだぜ!」 「あきらめてれいむのかわいいあかちゃんにごはんをたべさせるんだよ!」 「ゆっきゅりさせちぇね!」 大小様々な害ゆっくりがドスに体当たりを続ける。 「あとひといきだよ!」 「もうすこしでゆっくりぷれいすにつくね!」 ドスは全然こたえていないようだが、害ゆっくり達はもうすぐドスを倒せると思い込んでいるらしい。 もう1匹のドスといえば、申し訳なさそうな目でドスを見ていた。 「いまだよ!」 ドスが声を上げる。 「どすにこうげきするわるいゆっくりはゆっくりしね!」 「おうちやごはんをうばおうとするゆっくりできないまりさはいなくなってね!」 左右から洗われる益ゆっくり達。 どんどんと害ゆっくり達のスペースが狭くなっている。 「ふぅーーーー!!!」 害ゆっくりの逃げ場が殆どなくなったところでドスが吸い込んでいた息を大きく吐き出す。 「ゆわ!?」「ゆひゃ!?」 前方のゆっくりは後ろへ吹き飛ばされ、まりさやちぇんなどの帽子を被った害ゆっくりの帽子は飛ばされる。 「までぃざのおぼうじがぁぁぁぁ」 「ぼうしのないへんなゆっくりはゆっくりしね!」 「やめでぇぇぇぇ!!ゆっぐりじぬのばどずでじょぉぉぉぉ」 仲間割れ。 飾りのないゆっくりは相手を認識できない、というものであるが。 「ぼうしがなくなっただけでみぐるしいね!」 「かざりがないだけでゆっくりできないってだれがきめたの?」 益まりさが自分の帽子を益れいむにとってもらう。 「ゆっくりできな―」「なかまにぼうしがなくったってゆっくりできるまりさはまりさよ」 帽子を外したまりさに突撃してきた害れいむを突き飛ばす益ありす。 「ちゃんとあいてのとくちょうをおぼえればぼうしなんてただのかざりよ、そんなこともわからないの?えらいの?」 あれよあれよと害ゆっくりは同士討ちで数を減らす。 逃げ出そうとするものあらば益ゆっくりの囲みで押し戻される。 残ったのはとドスに従おうとした数匹のゆっくりだけである。 「わるいゆっくりにふりまわされてたんだね、どす」 「ありがとう!どすにはかんげきしたよ」 「おなじどすでしょ、しっかりしようね」 「どす!どすにいろいろとおしえてほしいよ!」 ドスがドスに教えを請う。 こんなレアなシーンを撮影できるとは思わなかった。 結局、この残ったドスとゆっくり達は益ゆっくりの群れに入る事になったようだ。 冬場までに2匹のドスの力もあり、何とか残った数匹過ごせる量の餌を集める事ができたらしい。 このまま群が増える事もあるかもしれない、れいぱーありすの集団が来た時の対応も気になる。 引き続き観察を続ける事にしよう。 …ただ、これは教授に提出するいい書けそうだ。 きっと「素敵!」の声が聞けることだろう、今から楽しみだ。 ――とある研究お兄さんの実験メモ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あとがき よくドスの言う事を聞いたばっかりに殺されるゆっくりがいたのでそれをかき集めてみました。 今まで書いたもの 博麗神社にて。 炎のゆっくり ゆっくりを育てたら。 ありす育ての名まりさ 長生きドスの群 メガゆっくり ゆっくり畑 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1938.html
※嘔吐描写注意 「ゆっくり食べてね!」 どこかの場所、いつかの時間。 一匹のゆっくりが、一心不乱に大量の何かを食べ続けている。 その様子を、イスに腰掛けてじっと見つめる男が一人。 「はぐはぐはぐはぐがふがふがふがふがふむちゃむちゃむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……」 汚らしい食べ方のためにゆっくりの周りはぐちゃぐちゃになっていたが、そんな事は気にもせず、延々と食べ続けるゆっくり。 男もその様を叱る事もなく、ただじっと眺めていた。 「がふがふがふがふむちゃむちゃむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……ゆげふ! ゆげぇぇぇ……」 不意に、ゆげゆげとアンコと何かの混じったものを吐き出すゆっくり。 びちゃびちゃと先ほど食べていたものを汚していくその音は、人間のするそれと全く同じものである。 違うのは、吐き出すものの色が黒い事と、発するのが甘い臭いだという事だけだ。 「ゆげぇぇぇ……え”ふっ! ゆ、ぜびぃ……ぜびぃ……ゆぅ……がふがふがふがふむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……」 ある程度吐いて落ち着いたゆっくりは、また山を崩す作業に戻った。 食べすぎで吐いたというのに何故か更に食べるゆっくりをこのまま放置しておけば、吐き戻しすぎて死ぬだろう。 だが、死へ確実に近づいているゆっくりを止める事もなく、男はじっと見続けている。 「がふがふがふむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……ゆげぇ! え”ろ”ろ”ろ”ろ”ろ”ろ”……」 案の定、もう限界を超えているゆっくりは、それほど食べない内にまた吐き戻してしまった。 パンパンに膨らんでいた顔が、みるみるうちにしぼんで元の下膨れ饅頭へと戻っていく。 その目にはうっすらと涙が浮かび、顔色は真っ青になっている。 「げほっ、がぼっ! ゆ”……ゆげぇ……」 荒い息をついて、ぐったりとその場に潰れるゆっくり。 それを見て、これまでじっと見つめていた男が靴音高く近づいてきた。 「んげほっ、え”ほっ……ゆ、ゆっぐりだべるよ……だから、ごっち、ごないでね……」 青い顔に恐怖の色を浮かべて、男から少しでも離れようと試みるゆっくり。 その様子を見て何か思ったのか、男はその場に座り込んだ。 ゆっくりの顔から恐怖の色が消え、僅かに血色を取り戻すと、そのまま山に近づいていった。 「ゆっぐりだべるよ……だべるよ……」 必死の形相でじりじりと山に近づいていくゆっくり。 僅かに動くだけで戻しそうになりながらも、近づく事はやめない。 「だべるよ……だべっ! ……え”ろろろろろろろ……」 長い時間をかけて山のふもとまで来たゆっくりは、食べる直前に自分で吐き出したものの臭いに負け、その場にアンコをぶちまけ始めた。 「んげろろろろろろ……おげぇぇぇ! げふっ! え”ふっ! ゆべぇぇぇぇぇ……」 吐き過ぎて子ゆっくり並の大きさになっているが、それでも流れ出てくるアンコ。 壊れた蛇口の様に流れ出る黒とは対照的に顔色は紙の様に白くなり、顔には何の表情も浮かんではいない。 後数分で、顔中のアンコを吐き出してしまうだろう。 ここはゆっくりの処理場。 ここに連れて来られたゆっくりは、ここにある仲間の死がいを全て食い尽くすか、即座に殺されるかのどちらかを選ぶ事となる。 ほとんどのゆっくりは死がいを食べる方を選ぶが、どれもが食べきれずに終わる事となる。 数百匹分のゆっくりの死がいは、一人や二人では食べきれないほどに多量にあるのだから、元から不可能な事だ。 それでも挑戦をやめないのは、ゆっくりが間抜けだからなのか。生きたいという想いが強いからなのか。 それは人間には分からない。 男は『それ』をつまみあげて山に投げ置いた。 てっぺん辺りに落ちた顔は、周囲と同じく苦悶の末に死んだ事を物語っている。 そこまでの苦しみを味わっても、決して自分から死にたいと言うゆっくりがいない事が、男には不思議でたまらなかった。 ――次のゆっくりに、ちょっと聞いてみようか。苦しんだ末の死と、苦しむ事ない一撃の死と、どっちが良いのかを。 そう考えつつ、男はゆっくりと部屋を出て行った。 おしまい ゲロ吐くゆっくりいじめものを短くまとめてみようと思ったら、こんなんが出来ました。 なんだこれ。 by cyc=めて男 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1909.html
※嘔吐描写注意 「ゆっくり食べてね!」 どこかの場所、いつかの時間。 一匹のゆっくりが、一心不乱に大量の何かを食べ続けている。 その様子を、イスに腰掛けてじっと見つめる男が一人。 「はぐはぐはぐはぐがふがふがふがふがふむちゃむちゃむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……」 汚らしい食べ方のためにゆっくりの周りはぐちゃぐちゃになっていたが、そんな事は気にもせず、延々と食べ続けるゆっくり。 男もその様を叱る事もなく、ただじっと眺めていた。 「がふがふがふがふむちゃむちゃむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……ゆげふ! ゆげぇぇぇ……」 不意に、ゆげゆげとアンコと何かの混じったものを吐き出すゆっくり。 びちゃびちゃと先ほど食べていたものを汚していくその音は、人間のするそれと全く同じものである。 違うのは、吐き出すものの色が黒い事と、発するのが甘い臭いだという事だけだ。 「ゆげぇぇぇ……え”ふっ! ゆ、ぜびぃ……ぜびぃ……ゆぅ……がふがふがふがふむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……」 ある程度吐いて落ち着いたゆっくりは、また山を崩す作業に戻った。 食べすぎで吐いたというのに何故か更に食べるゆっくりをこのまま放置しておけば、吐き戻しすぎて死ぬだろう。 だが、死へ確実に近づいているゆっくりを止める事もなく、男はじっと見続けている。 「がふがふがふむちゃむちゃぐちゃぐちゃぐちゃ……ゆげぇ! え”ろ”ろ”ろ”ろ”ろ”ろ”……」 案の定、もう限界を超えているゆっくりは、それほど食べない内にまた吐き戻してしまった。 パンパンに膨らんでいた顔が、みるみるうちにしぼんで元の下膨れ饅頭へと戻っていく。 その目にはうっすらと涙が浮かび、顔色は真っ青になっている。 「げほっ、がぼっ! ゆ”……ゆげぇ……」 荒い息をついて、ぐったりとその場に潰れるゆっくり。 それを見て、これまでじっと見つめていた男が靴音高く近づいてきた。 「んげほっ、え”ほっ……ゆ、ゆっぐりだべるよ……だから、ごっち、ごないでね……」 青い顔に恐怖の色を浮かべて、男から少しでも離れようと試みるゆっくり。 その様子を見て何か思ったのか、男はその場に座り込んだ。 ゆっくりの顔から恐怖の色が消え、僅かに血色を取り戻すと、そのまま山に近づいていった。 「ゆっぐりだべるよ……だべるよ……」 必死の形相でじりじりと山に近づいていくゆっくり。 僅かに動くだけで戻しそうになりながらも、近づく事はやめない。 「だべるよ……だべっ! ……え”ろろろろろろろ……」 長い時間をかけて山のふもとまで来たゆっくりは、食べる直前に自分で吐き出したものの臭いに負け、その場にアンコをぶちまけ始めた。 ドボドボと音を立てて凄まじい勢いで流れ出るアンコは、しばらく 「んげろろろろろろ……おげぇぇぇ! げふっ! え”ふっ! ゆべぇぇぇぇぇ……」 元の大きさに戻っても吐き続けるゆっくり。 顔色は紙の様に白くなり、顔には何の表情も浮かんではいない。 後数分で、顔中のアンコを吐き出してしまうだろう。 ここはゆっくりの処理場。 ここに連れて来られたゆっくりは、ここにある仲間の死がいを全て食い尽くすか、即座に殺されるかのどちらかを選ぶ事となる。 ほとんどのゆっくりは死がいを食べる方を選ぶが、どれもが食べきれずに終わる事となる。 数百匹分のゆっくりの死がいは、一人や二人では食べきれないほどに多量にあるのだから、元から不可能な事だ。 それでも挑戦をやめないのは、ゆっくりが間抜けだからなのか。生きたいという想いが強いからなのか。 それは人間には分からない。 男は『それ』をつまみあげて山に投げ置いた。 てっぺん辺りに落ちた顔は、周囲と同じく苦悶の末に死んだ事を物語っている。 そこまでの苦しみを味わっても、決して自分から死にたいと言うゆっくりがいない事が、男には不思議でたまらなかった。 ――次のゆっくりに、ちょっと聞いてみようか。苦しんだ末の死と、苦しむ事ない一撃の死と、どっちが良いのかを。 そう考えつつ、男はゆっくりと部屋を出て行った。 おしまい ゲロ吐くゆっくりいじめものを短くまとめてみようと思ったら、こんなんが出来ました。 なんだこれ。 by cyc=めて男 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/t17650/pages/17.html
タイトル 冬ゆっくり 分類 グロ 詳細 やっぱり美味しいゆっくりはいいよね c5cf48c7-s.jpg 09575a3c-s.jpg 1e49c92c-s.jpg c9740b9e-s.jpg コメント一覧 え?これで終わり? -- 光 (2012-08-26 16 24 37) 4ページ目のアングルなかなかおもろい -- 名無しさん (2012-11-18 19 21 58) ww -- 名無しさん (2013-02-16 00 39 07) これみて笑ってる奴ら狂ってるな -- 名無し (2013-04-17 17 55 18) (*1)))))) -- 名無しさん (2013-04-25 17 27 18) AHAHAHAHA、虐待者達はみんなくるってるんですよ!!wwww -- クズ虐待専門家 (2013-05-25 11 05 19) 狂ってるとか今更wwwwwww -- 名無しさん (2013-06-16 17 38 45) おもしろ! -- ゆっくり撲滅隊 (2013-06-23 00 36 20) ゆ虐を検索し見てる時点で皆同類だよ(沙*・ω・) 狂ってるさ、皆HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA -- 名無し (2013-06-24 14 36 18) 別に狂ってるわけじゃないねん。 愛に飢えてるだけやねん。 まあ、倒錯しちゃった愛やけどねんな。 -- 名無しさん (2013-07-06 09 04 03) いまいちやな -- 名無しさん (2013-07-27 17 21 44) 炙るのかwww -- 名無しさん (2013-08-20 13 13 11) 続きが気になる -- 名無しさん (2013-10-26 03 02 31) おもしろーい! -- 名無しさん (2014-01-01 13 01 45) えっ、もう終わり!?短っ!続きが気になる -- 名無し (2014-05-19 23 01 52) 短い!もっと見たいなーwwwwあと、さっぱりせえへん終わり方やなーw -- 名無しさん (2014-06-29 03 21 36) コメントしてるヤツは全員消えろ。 -- 名無しさん (2014-09-13 23 16 50) おまえもコメントしてるから死ね死ね死ねwww -- 名無しさん (2014-09-29 17 33 34) もっと漫画作れ。 -- うんこ (2015-01-03 13 17 52) 食べたくねーw -- 希少種愛で隊 (2015-03-21 19 33 40) おいしいのかな 食べてみたい でも短い -- あやか (2016-03-17 18 25 58) コメントしてるヤツは全員消えろ。 って書いてあるけどお前だって コメント書いてるじゃねーか -- 名無し (2016-03-17 21 38 30) www -- 名無しさん (2016-06-06 21 36 51) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/imouto780/pages/563.html
パンツマン ◆4sbl6fgj4M 初登場#739 715 スペック 俺 21才 大学3年 妹 19才 大学1年 妹と2人暮らし ルームメイトみたいな感じ 仲は良い方だと自負してる 大学は同じ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/296.html
一人暮らしなのに、家に帰ると出迎えがあった。 「ゆっくりしていってね!!」 「ここはれいむのおうちだよ!!おじさんもゆっくりしてね!」 やれやれ、またか。最近多いな。 相手にしているときりがないので、無視して先ほどコンビニで買ってきた「ゆっくり専用ごみ袋」を取り出す。少々大きめで、丈夫な素材でできている代物だ。 反応がないことに不満で、足元にぽよぽよぶつかるゆっくり2匹をつかむと、ゴミ袋に入れる。「ゆっくりだしてね!!」などとほざいているが、例によって取り合わない。 中にはいるとお母さんれいむとその子ども達が数体好き勝手に遊びまわっていた。 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 まったく。 「おじさん!!たべものがここにはないよ!ゆっくりできないよ!」 「おもちゃもないよ!!つまらないよ!!」 「ゆっくりたちにごはんとおもちゃをあげてね!!」 「「「あげてね!!」」」 ゆっくりが大量に増え住居侵入被害にあうことも珍しくなくなったため、一般家庭でもゆっくり対策を講じることが珍しくなくなった。我が家もその一環として食料庫や貴重品をしまう箱にはカギをかけているため大した被害はなかったのだが、ゆっくりたちにはそれが不満だったらしい。 そんなにつまらないなら諦めて出て行って欲しいのだが、この時期天敵の雨を凌げる場所はやはり欲しいらしく 「でもここはあめがこないから、れいむたちのおうちにするね!!」 「ここでみんなゆっくりしようね!!」 「「「「ゆっくりしようね!!」」」」 まぁ、これもいつものことなのでスルー。ずうずうしく「ごはんまだ?」ところをあっさりと捕まえると、ゴミ袋にポイポイ入れていく。ゆっくりたちは袋の中で「ゆっくりはなしてね!!」「ゆっくりできないよ!」とうるさいが、こいつらに事情説明しても事態は好転しないのはよーくわかっている。ひととおり入れたところで袋の口を縛り、袋にはまだまだ余裕があったがゴミ回収場に向かう。、 階下の回収場にはいつの日からか「もえるゴミ」「もえないゴミ」「資源ゴミ」のほかに「ゆっくり」のカテゴリーが追加されており、既に何個か専用袋が鎮座している。ご近所も災難だな。 袋の中からはまだゆーゆーうるさい声が聞こえる。このままでは近所迷惑になるので、早いところ静かにしてもらおう。袋をその場で回転させ、勢いをつけたところで道路に叩きつける。 どすんっ。 「「「「ゆ゛ーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!?」」」」 「や゛め゛てぇえええええええっ」 「ゆ゛っぐりでぎな゛いいいッ」 構わず何度も打ちつける。 どすんっ。 どすんっ。 どすんっ。 このようにして、餡子ペーストになるまでゆっくりどもをまとめて潰すのだ。なんでも、このために袋は丈夫に作られているのだとかそうでもないとか。 しかし餡子って意外と重いな。ちょっと腕が疲れてきたので腕を休めていると、中からの声は随分小さくなっていた。結構な数がただの餡子に成り果てたらしい。 「な゛んでごんな゛ごとにぃいいっ」 「ゆっぐりしだいよぅ・・・・」 なんでってまぁ、人様の家に勝手に上がりこんで自分の家宣言じゃなぁ。境遇を考えればちょっとかわいそうだが、もうちょっと愛嬌の振りまき方と遠慮を学んでくれ。 せめて楽に死なせてやるのがやさしさか。ということでトドメ。 どすんっ。 沈黙した餡子袋を回収場に置いて部屋に戻る。ストレス解消にならないでもないが、こうちょくちょくやらされるのも難儀だな。 ため息をつきながら、とりあえず座布団に腰を下ろすと 「ゆ゛っ」 ・・・尻にくぐもった音と何かがつぶれる感触。見てみると、小さなゆっくりの成れの果てがあった。どうも1体ほど隠れていたのを見落としていたらしい。おかげで床にあんこが汚れてしまった。また面倒が増えた。 一人暮らしの寂しい身、ちいさいの1体ぐらいなら飼ってやらないこともないんだけどな。惜しいことをしたかな、と思いつつ、不幸なゆっくりの死体を始末した。 ゆっくりが現れてからというもの、小さな面倒が増えたものだ。 おわり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1622.html
「ゆっくりしてぶっ!」 朝起きると部屋の中にゆっくりがいたので目覚ましを投げつけた。 時計の直撃を顔面に喰らった痛みに、ゆっくりれいむは床を転がり回っている。 「ゆっ、ゆっ、ゆっくりしてげっ!」 ベッドから身を起こし、今度はゆっくりに蹴りを入れる。 死なない程度に加減はしたが、相当の痛みだったのだろう。俺が着替える間中ゆっくりはのたうち回っていた。 「さてと。」 ゆっくりれいむの髪を掴んで俺の目の前にぶら下げる。 「痛いよ!お兄さん痛いよ!ゆっくりぶげっ!」 頬を引っぱたく。あの台詞は聞き飽きた。 「どうやって部屋に入った?」 「ゆっ、ゆっ。」 俺が大げさに右手を振りかざすと、ゆっくりは焦りの色も露わに説明した。 「あそこからゆっくり入ってきたよ!」 ゆっくりが向いた先を見ると、網戸が開いている。こいつらベランダからもやって来るのか。ここ五階だぞ。 こんな事が起こるようでは、もう窓も開けて寝られない。 玄関半開きも駄目、その上部の小窓も駄目。通気の悪い寝苦しい夜を過ごしたら、今度は窓も駄目と申すか。 俺はクーラーとか、文明の利器にべったりなのは嫌いなんだ。まあそろそろ涼しくなる頃だし我慢するか。 そんな事をつらつら考えていると、ゆっくりが話しかけてきた。 「お兄さんここはゆっくり出来ないよ。」 「そうか。」 「れいむはもうおうちに帰るよ。ゆっくり下ろしてね。」 「そうか。」 ゆっくりを掴んだままベランダに出る。雲一つ無い空。今日も暑くなりそうだ。 ベランダの下は道路を挟んで川が流れている。通勤者や通学者が通りを歩いている。 こういう事は人が居ないときにすべき。それがマナーというものだ。部屋に戻って煙草を取ってくる。 ベランダで煙草を吹かすが実に不味い。ゆっくりを掴んだ左手が重いからかもしれない。うろちょろされても目障りだから仕様がない。 ふと視線を眼下の道路から前方に移すと、対岸のマンションにもゆっくりを掴んだ者がいた。そこかしこのベランダに待機した人影がある。 あちらの道路は交通量が多いから、ああやってずっと待っているのだろう。 自分が言うのもなんだが、みんな行儀良くて結構な事だ。こいつもそれぐらいの心掛けがあれば長生き出来たかもしれないな。 「お兄さん。」 「なんだ。」 「ゆっくり下ろしてね。」 「もう少し待ってろ。」 「ゆっくり待ってるよ。でも早くしてね。」 「そうか。」 ゆっくりの相手をするときは適当に受け流すのが一番だ。こいつらとの会話に整合性を求めると病院の世話になりかねない。 しかしなんだってこいつらは、わざわざ人の家に入ってくるのかね。食い物ならその辺のゴミ漁りで十分だろう。 以前そういうゆっくりに質問してみたが、「ゆっくりしたいよ!」とか言うばかりでさっぱり分からん。 煙草の長さが半分になる頃、対岸の道路に一瞬の静寂が訪れた。歩行者もおらず、車も手前の信号で止まっている。 「ゆっくりー!?」 対岸からゆっくりの絶叫が響いてきた。向こうのマンションの、あちこちのベランダからゆっくりが川に投げ込まれている。 投げ出された何十ものゆっくりは、川の水面に叩き付けられ、半数が即死し、残りは何か小さな呻きを漏らしながら、川に流されていった。 中には勢い余って川を越してこちら側にまで届いたゆっくりもいる。道路に餡子が半扇状に飛び散っているが誰が片付けるんだあれ。 「ゆーっ!お空を飛んでるみたい!」 一匹のゆっくりまりさが泣き笑いの表情でコードレスバンジーをしている。 まあ実際に飛んでるわけだが、少し意味が違うかな。現実逃避の邪魔をするのも野暮な話だし、だいたいそんな時間もないわな。 「ぼしょん」という間抜けな音と共にまりさは水面に落ちた。沈み込んで、拉げた顔になって浮き上がってくる。 まりさは薄ら笑った顔でゆらゆらと川下に流されていった。 「お兄さん。」 「なんだ。」 ゆっくりれいむは俺にぶら下げられながらガタガタ震えている。 「なにあれ。」 「なにって、お前等を俺達のおうちから追い出してるんだよ。」 「あれじゃみんな死んじゃうよ?」 「死ぬだろうな。」 「ゆっくりしたいよ?」 「お前等が家に居ると俺達はゆっくり出来ないんだよ。」 「ゆっくり帰してほしいよ?」 「駄目だ。」 「もう来ないよ?」 「お前等は直ぐに忘れて戻ってくるからな。」 「お願いよ?ゆっくり下ろしてね。」 「どうやらこちらも頃合いのようだな。」 ゆっくりれいむの目には涙が溢れている。必死なんだろうが、口が半笑いではいまいち危機感が感じられないな。 煙草をサンダルで揉み消し、ゆっくりを右手に持ち替える。 「ゆっくり帰してね?もう来ないから許してね?」 「直ぐに帰してやるさ。来るとか、来ないとか、もうそういう事を考える必要は無い。」 「お願いね?お願いね?ゆっくりさせてね?ゆっくりさせてね?」 「短い付合いだったな。さよならだ。」 「ゆーっ!?」 俺は大きく振りかぶって、ゆっくりを川目掛けて投げつけた。 「もっとゆっぐりしたかったよおおおおお!」 目算を誤った。少し飛距離が足りなかったらしい。れいむは手前の地面に落ち、餡子を撒き散らして転がり川に飛び込んでいった。 落下角が斜面にうまく合ったようで、即死する程の衝撃は無かったようだ。 もっとも、即死を免れても苦しむ時間が長引くだけだ。惨い事をしてしまったかもしれない。 上階から別のゆっくりがポイポイと降り注ぐ中、俺は流れゆくゆっくりれいむに向かって呟いた。 「悪かったな。次の奴は楽に死ねるようにしてやるから。」 少し遅れて朝食を済ますと、俺は家を出て、会社に向かった。 家の前の道を駅へ向かって歩いていると、そこかしこの窓からゆっくりが放り出されている。 何でこいつ等は懲りずに人間に関わろうとするんだろう。「ゆっくり」は何を意味しているのだろう。 橋を渡りながら水面を見下ろすと、死んだもの、死にきれないもの、沢山のゆっくりが川を流れていた。 水質とか大丈夫なんだろうか。 川岸の水草にひっかかった一匹のゆっくりと目が合った。 そのゆっくりれいむは瀕死の、そのくせ半笑いの表情でこちらをじっと見詰めている。 確信は無いが、さっき投げたゆっくりのようだ。 そいつは暫くこちらを見ていたが、やがて諦めたかのようにゆっくり目を閉じた。 俺は川から視線を外して雲一つ無い空を見上げた。 今日も暑くなりそうだ。 by GTO このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5102.html
いままで書いたもの とかいはコーディネイター 植物型ゆっくり 魔理沙とゆっくり~邂逅篇~ 取替えられた子 お前なんかドスじゃない ばーさすちれーでん ねるねるねるゆ ゆっくりを飼うって難しい ゆっくり分身 れいぱー 公然猥褻れみりゃ 決死の虐待 虐待お兄さんの冒険 人外魔境の森編 ゆっくりさん 虐待お兄さんの冒険 異形達の海岸編 じゃんけん13奥義 ゆっくりの背筋も凍る怪談 一生一人でゆっくりしてろ! 「まりさ! どうしてアンタはそうなの!」 頭上から降り注ぐ怒声。余りにも理不尽なそれを、まりさは黙って縮 こまりながら受け止める。 叫んでいるのはまりさの飼い主だ。顔を怒りで真っ赤にそめ、失望に 染まりきり、憎悪すら滲んだ顔でまりさを見下している。 「ゆっくりごめんなさい、ゆっくりごめんなさい……」 まりさは顔を伏せたまま、喉を震わせ掠れた声を漏らす。しかし、飼 い主の表情は変わらない。 飼い主はまりさを掴みあげ、鬼の形相で怯えるまりさを睨みつける。 「ホントアンタはダメなゆっくりなんだから! どうして――」 そして、それを指差しなが言った。 「――あのれいむみたいにできないの?!」 指差された先。そこには、もみあげを使い器用にナイフとフォークを 操り、お行儀よくフレンチを食べるお隣のれいむの姿があった。 まりさは叫んだ。 「でぎるわげないでじょーーーーーーー?!」 事の発端は1ヶ月前であった。 「今日のご飯はまりさの大好物の犬のエサよ!」 「ゆわーい!」 その日もまりさとその飼い主である女性はいつもどおり仲良く散歩に 出かけ、丁度家へ帰ってきた所だった。マンションの二階、その廊下 に出ると、自分の部屋の隣にダンボールが山積みにされているのに気 がついた。 「おねーさん、これなーに?」 「お隣に誰か引っ越してきたのね」 と、丁度その時隣の扉が開き、頭に饅頭を載せた20歳くらいの青年が 現れた。ルックスもイケメンだ。 そして、こちらの存在に気付いた青年と饅頭が、口を開いた。 「やぁ! 僕は虐待お兄さん!」 「れいむはれいむだよ! ゆっくりしていってね!」 そしてこの爽やかな笑顔。 飼い主とまりさは、青年の言葉を聴かなかった事にして挨拶した。 それから数日たち、青年が基本変質者だが悪い人間ではないと思い込 んだ飼い主とまりさは、日頃やたらと働く青年のまりさをたまに預か るような仲になった。 ……そう、まりさの地獄はこの時から始まっていたのだ。 「今日のおやつは特売の100円ケーキよー。特売よ特売」 「「ゆわーい。けーきー」」 やたらと特売を強調する飼い主に与えられたケーキを、まりさはいつ も通りむーしゃむーしゃと齧る。よく噛み、飲み込んで 「しあわせー!」 と叫び、口の周りについた生クリームを舌で綺麗に舐め取った。 そして、ふと隣にいるれいむを見て、驚愕した。 れいむは、そのもみ上げで掴んだマイフォークで、ケーキを一口大に 切り分けてお上品に食べていたのだ。 唖然と口を開いてその様を眺めるまりさと飼い主。当然だ。ゆっくり がフォークを使って物を食べるなど、常識的に考えてありえない。 「……れいむは行儀がいいわねぇ。まりさもれいむを見習いなさい」 半ば引き攣った笑みを浮かべて、気のない声を上げる飼い主。まりさ はその飼い主の声に答える事はできなかった。れいむの使うフォーク がかちゃかちゃと皿と触れ合う音だけが響いていた。 それからも、れいむは、ゆっくりらしからぬ凄まじさを事あるごとに 披露した。 5桁×5桁の暗算、トランプを使った透視、鬼隠し編プレイ時点での ひぐらしの謎の解明、レベル1でドラクエクリア、東方ルナティック 初見ノースコクリア等である。 それを見るたびに飼い主はまりさに言った。 『まりさもれいむを見習いなさい』 『まりさもれいむみたいになりなさい』 『まりさと違ってれいむは凄いわね』 『まりさはどうしてれいむと違ってダメなのかしら』 『まりさはどうしようもないわね』 飼い主は結構見栄っ張りなところがあり、基本キチガイだった。他人 のゆっくりより劣るまりさを責めるようになったのだ。日に日に厳し く、執拗になっていく飼い主の叱責に、まりさの心は磨り減って行っ た。 まりさの名誉のために言うと、まりさは決してダメではない。むしろ 飼いゆっくりとしては非常に優秀といえる部類に入る。 まりさは不出来ではない。ただ、比較される対象が悪かったのだ。 飼い主はヒステリックに泣き叫びながらまりさに告げた。 「どうしでできないのよぉぉぉぉぉぉ?! れいむを見習いなさい! れいむは3階から投げ捨てられてもへっちゃらでしょぉぉぉぉぉ?! あんたも2階から投げ捨てられるくらい我慢しなさいよぉぉぉぉ!!」 「でぎるわげないでじょぉーーーーーーーーー?! おねがいだがら おぢづいでねぇーーーーーーーーーー?!」 まりさは長い鍛錬の末にようやく動かせるようになったお下げで必死 に窓枠にしがみ付く。己の命が掛かっているので正に命がけだ。 そんな中、地面でゆっくりしていたれいむが上空のまりさに向かって 声をかけた。 「おそらをとんでるみたいでゆっくりできたよ! まりさもゆっくり していってね!」 そのズレた声に、思わずお下げの力が緩み、 「ゆっぐりでぎないぃーーーーーーーーーーーーーーー!!!」 まりさは、空を舞いながらそう叫んだ。 おわり 作者:○ーメンぶっかけ祭の人 あとがき SSの展開に悩んでいる間に何がなにやらわからない事になっている ので騒動が治まるまでふたばにいくことにします。 戻ってくる事があったらその時はまたよろしくお願いします。 このSSに感想を付ける